【マトリックス考察】ゆるゆるシャドウラン
性格的にブログって更新できないんだなぁ、と。
でも、Twitterで呟くのは出来るから、呟いたのをまとめてみればいいのだ!
マトリックスって分かり難いよね。
という事で、最近の理解を緩い小説形式で書いてみた。
ゆるゆるシャドウラン(戦闘とか無いから)。
この間のセッションの軽いスピンアウトでもある。
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「ふんふん、ふんふんふん〜♪」
鼻歌を歌いながら家に戻り、自室に戻ると勢いよくお気に入りのポーターバックをベッドに投げる。
バッグはソファに沈みこみ、リビングからお母さんの注意する声。
軽やかに無視して手元の帽子を手にした。
いつものウサギのファーの暖かな帽子。
内側には、私用に調整されたトロードが縫い込まれている。
本当はジャックを入れたかったが、両親が許してくれなかった。
大学の友達なんて、ほとんど入れてるけどなー。
ソファの中で身体の位置を整え、帽子を被り念じる。
すると、トロードを通じて、私の思考が手元にあるコムリンクにワイヤレスで伝わっていく。
部屋様子が、霧がドアの隙間から入りこんだかの様に次第に薄れていく。
メガネを通して映っていたアロー達も同様に。
VRへの入り方は人それぞれだけど、私は、このモデルが好き。
ゆっくりと。周囲の様子が変わっていく。
しばらくすると霧が晴れ、私は夕暮れの海岸線の通りに立っていた。
傍らを見るとマリーナ・デルレイ(そんなに遠くは無いけど行った事はない)
の様な大小様々なヨットが並んでいる。反対側は様々なショップが。
エターナル・ホライゾン。
ホライズンのグローバル・グリッドだ。
私は、それほど好きじゃないけど。
このグローバル・グリッドは人気がある。
特に恋人達にね。
ストリートに、私、尻尾を二つ持つ虹色の猫はゆっくりと歩き始める。
これが、私のアイコンだ。
ネコマタ?と言うんだと、カエデは言ってた。
虹色のネコマタなんていないとも言ってたけど。
マトリックスでは、おおよそ何でもありだ。
ストリートを歩きながら周囲を見ると、
他の9つのグローバル・グリッドの様子が薄らと空に透けて見えた。
そして、地上・・・パブリックグリッドの様子も見える。
概念的には、グローバルグリッドが空で、
パブリックグリッドが地上、という事らしいけど、
こんな空は無いから、上手いこと言えてない微妙な感覚だ。
周囲のベンチで語らうラヴい恋人達の様子に少し居心地が悪くなり、
さっさとグリッドを移動する事にする。
グローバルグリッドもパブリックグリッドも世界中を被っている。
だから、行こうと思えば、エターナル・ホライズンの中でも移動は出来たが、
今日は少し変わっている所でカエデと待ち合わせをしていた。
地球の反対側に行くのも、マトリックスならあっという間だ。
私は、ホライズンのグローバルグリッドからネオ・トーキョーのローカル・グリッドにアクセスする。
目指すホストがパブリックグリッドにあれば、大抵のグリッドからアクセスできる。
ただ、中には特定のグリッドからしかアクセスできないホストだったり、
特定のグリッド(大抵はパブリック)からはアクセスできなかったり、
追加の料金を取るホストもあった。
カエデと待ち合わせをしていたのは、
ネオ・トーキョーのローカルグリッドからだけアクセスできる変わった店だった。
店?劇場?でも、劇場というよりは、小さなライブハウスという感じだった。
何でも21世紀の始めには、この地で日本のアイドル達が伝説を築いたとか。
ウッドストックみたいなものかな?
私がシアトルの無名のアイドル活動をコッソリとやってると話したら、
カエデが興奮して、この場所を待ち合わせにしたのだ。
「ヤッホー、ヤホヤホ。アニー早いじゃん!?」
と、ビックリ声を上げて隣に降り立ったのは、日本のジョシコーセーのカエデだった。
「いや、早くないよ。時間丁度」
「アニーが丁度って早い!」
「何よそれ!?」
いつも色々としてて遅くなる事多いけどさ。
カエデは、紺のセーラー服にスカート。
日本の高校の制服らしいが。
「いや、ウチの学校私服なんだけどねw」と、この間笑ってた。意味分からん。
「いやいや地下アイドルを頑張ってるアニーに、聖地巡礼をして貰いたくてね〜」
カエデは感無量という顔。
聖地巡礼・・・検索・・・知識が直接飛び込んでくる。
・・・それ、アイドルの方じゃなくて、ファンがするんじゃ?と思ったが、
カエデと一緒に中に入ると日本のアイドルの歴史の展示などもあってなかなか勉強にはなった。
アキモトってすごいなー。
「いや、この子可愛くない!?好みだわー」
「そう?ちょっと性格悪そうじゃない?」
「そこがむしろ良い」
と数十年前のコンサートを最新技術で、
様々な位置で体感できるコンテンツをカエデと私は楽しんだ。
カエデはファン視点、私はアイドル視点で。
カエデは、私から見ると変わってた。
性格も多少変わっていたが、マトリックスで彼女は、
ドワーフの普通の女子高校生の姿だった。髪も黒髪。刺青なんかもしていない。
普通の日本人の女の子、だった。
マトリックスは自由だ。
大抵のユーザーは、自分のアイコンを好き勝手に。
大体は「自分の理想」の姿に変える。
私の虹色の猫の姿は、私のある種の理想だった。
普通の彼女の姿は、マトリックスでは逆に目立っていた。
カエデは気にしてなかったが。
「あ、やば、楽しみすぎた」
「え、もうそんな時間?」
気づくと、次の待ち合わせの時間まで、あと少しだった。
「遅れるとビエントへそ曲げるから急ごう、急ごう。じゃ、またね!」
カエデは、ネオ・トーキョーのローカルグリッドからグリッド変更していく。
私も同じくグリッドをグローバルグリッドに変更。
『安全の為に皆さんは極力グローバルグリッド以外を使わない事』
それを教えられたのは、大学の入学ガイダンスだったか。
グローバルグリッドに戻ると、続けて目的の座標を思い浮かべた。